実家を出て一人暮らし

地元の高校を卒業し、希望の学科がある東京の大学に入学すると、実家を出て一人暮らしを始めました。
仕送りをしてもらっている感謝の気持ちを伝えるためと、まだ都会に慣れることができず故郷が恋しかったためもあり、春、夏、冬の休みのたびに帰省しました。

彼と出会ったのはその帰省の新幹線の中でした。

いつもなら普通列車を乗り継いで一日がかりで帰省していたのですが、その時はたまたま知人が旅行に行けなくなったからと新幹線のチケットを譲ってくれたのです。
座席は指定席で、ホットコーヒーやお菓子や雑誌を買い込んで新幹線の旅を楽しむつもりでした。

出発の時間寸前に隣の席に男性が慌てた様子でやってきて座りました。
彼がジャケットを脱ごうとして私にぶつかり、コーヒーカップが倒れてこぼれてしまいました。
ハンカチで拭いてくれながら何度も謝られたのですが、雑誌が濡れただけで済みました。

そのことがきっかけになって話をすると、目的地が一緒だとわかりました。
着いたらお詫びのために食事をご馳走したいと言われ、同郷の人だったこともあり食事をご馳走になったのが彼との出会いでした。

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